阪神にFAで新加入した「高橋聡文」って結局どうなの?FAの条件と内容も確認してみよう
公開日:2015年11月24日
中日ドラゴンズからFA(フリーエージェント)を行使していた「高橋聡文」が阪神へ入団することが決定しました。2015年はFAの権利対象者は6人です、対象者と権利について確認していきましょう。
出典:中日ドラゴンズ 選手名鑑
そもそもFAってどういう意味?
FAは「フリーエージェント」の略で、権利を行使すると、国内の12球団と契約できる「国内FA」と、海外・国内の球団と契約できる「海外FA」があります。
FAします!と宣言しても前の球団と契約することも出来るが、宣言後の契約を認めない球団もある。
ロッテとの残留交渉で折り合いがつかなかった。球団はFA宣言後の残留を認めない方針で退団は決定的。メジャー挑戦は考えていないそうで、国内で移籍先を探すことになった。
出典:ロッテ退団は決定的 涙でFA宣言の今江“意中”の球団は?
今年のFA6人の内の1人「今江」だが、ロッテの顔として長年貢献してきた。楽天入りが有力だが、球団は宣言後の残留は認めない方針とのこと。そりゃそうだ、他の球団に行きたいという選手が交渉が不発に終わったので仕方なく前の球団に・・・というのは球団からすると歓迎できないだろう。他の選手やFA者自身のモチベーション低下にも繋がる。
オリックスの金子のように絶対的エースでも無い限り、球団にとってはデメリットのほうが大きいのかもしれない。
FAになる条件は?
数年に1回制度が変更になってややこしいが、基本的には1軍に登録された試合数で決まる。1年間を145と決めて、高卒選手は8年間、大卒・社会人は7年間が経過すると取得できる選手の権利です。
ここでのポイントは「登録された日数」だということです。登録されていれば試合に出なくても権利としてもらえます。しかし故障や調子が悪くて2軍といったりきたりでは、中々年数分たまらないのが多くの選手でしょう。フルで登録されたとしても、新人からの換算なので初年度はあまり登録されないとして8~9年は早くてもかかるでしょう。
となると実質的に早い選手でも30歳手前が多くなり、入団が遅かったり苦労している選手だと30歳中盤と言うのはよくあることになります。
FAで獲得した場合のデメリット
しかしFAは良い事ばかりではありません。人的補償といって、一部の球団に戦力が偏らないように移籍球団への金銭の補償や、選手の補償があります。
年俸の高い選手を獲得すると、前球団の指名した選手を1名与えなければいけません。プロテクトといって、必要な選手を28名固定し、漏れた選手がもっていかれるので余程の選手で無い限り高い年俸の選手は獲得しないでしょう。
今回の「高橋聡文」はCランクの年俸が高くない選手なので、今回補償は発生しません。
・松田 宣浩→海外かソフトバンク残留
・今江 敏晃→楽天が有力
・田中 浩康→残留
・木村 昇吾→行使未定
・脇谷 亮太→巨人復帰が濃厚
・髙橋 聡文→阪神へ入団決定
現在はこのような状況となっています、中継ぎが手薄な阪神としては良い選手を獲得しました。
高橋聡文とは?
前置きが長くなりましたが「高橋聡文」とはどういう選手なのでしょうか。
出身地は「福井県大飯郡高浜町」という今では誰もが知っている町です。高浜原子力発電所があるところで有名ですね。
高校の「高岡第一」では春の選抜の1回戦で敗れました。2001年のドラフト8位の下位での指名で、中日ドラゴンズへ入団しました。
高橋光信・高橋周平・高橋聡文と中日には高橋が多く、高橋聡になったり高橋になったり選手登録名がよく変わりました。
岩瀬仁紀・浅尾拓也につなぐ中継ぎ・セットアッパーとして長くチームに貢献し、奪三振の高い速球派投手というのが印象です。
年度 | 試 | H | 投球回 | 三振 | 自責 | 防御率 |
2004 | 24 | 0 | 22 | 21 | 7 | 2.86 |
2005 | 61 | 13 | 44.1 | 56 | 23 | 4.67 |
2006 | 26 | 8 | 14 | 10 | 16 | 10.29 |
2007 | 25 | 4 | 27.2 | 27 | 13 | 4.23 |
2008 | 54 | 15 | 54 | 48 | 14 | 2.33 |
2009 | 49 | 10 | 49.2 | 53 | 17 | 3.08 |
2010 | 63 | 31 | 61.1 | 62 | 11 | 1.61 |
2011 | 2 | 1 | 2 | 2 | 0 | 0 |
2012 | 11 | 0 | 11 | 7 | 8 | 6.55 |
2013 | 29 | 5 | 25.2 | 29 | 10 | 3.51 |
2014 | 22 | 6 | 19 | 19 | 5 | 2.37 |
2015 | 35 | 6 | 25.2 | 26 | 10 | 3.51 |
計 | 401 | 99 | 356.1 | 360 | 134 | 3.38 |
投球回356に対して、奪三振は360と上回っています。これだけで三振が取れる投手だと分かります。防御率も3点台と安定し、中継ぎとしては優秀でしょう。昔に比べて登板数は減りましたが、毎年1軍でもそれなりに登板数もあり、昔よりコントロールが良くなったという印象もあります。
高齢化が進む阪神投手陣において、32歳とベテラン陣に比べるとまだ若く何年か活躍してくれるでしょう。スライダーやフォークの切れがよく、スローカーブと速球の緩急差で打者を揺さぶってくれます。
被本塁打も356回1/3に対して30と少なく、中継ぎでホームラン厳禁な場面での活躍も期待できそうです。2015年度の年俸はおよそ3,000万円とFA年俸Cランクの選手ですので、補償なども無いでしょう。
「阪神タイガースにお世話になることを決めました。ここまで育てていただいたのはドラゴンズのおかげですし、決めるまでには本当に悩みました。第2の故郷でもある名古屋を離れるのは寂しいですが、決めたからには金本監督を胴上げできるよう、少しでもタイガースの戦力となれるように頑張りたいと思います」
金本監督とも話をし、複数年契約と噂された中日ではなく阪神でとなったのは、今の中日の事情があまり良くないからかもしれません。金本監督を胴上げできるように、中継ぎとして安定感のある投球をファンは期待しています。
左の中継ぎとして補強ポイントが急務だっただけに、阪神はよい補強が出来ました。ただし昔のように50試合も60試合も出すのは酷なので、30試合前後でワンポイントリリーフなどで長く活躍してもらいたいものです。ファンの野次や重圧に負けないで、どれだけ頑張ってくれるか楽しみです。
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