プロ野球での「警告試合」と「没収試合」の違いについて
公開日:2015年10月18日
2015年に警告試合が数試合発生しました。また没収試合は、大学リーグで起こりました。両者の違いとは何なのでしょうか、どちらも良い意味で使われることはありませんがルールとして知っておくと試合内容が見えてきます。
警告試合とは?
簡単に言うと、「試合中に危険なプレーや行為」があったので、選手や監督を退場させることが出来る試合のことです。
一昔前では、珍プレー・好プレーでよくみかけた光景です。デッドボールを当てられて、バッターがピッチャーに向かって怒りにいくというもの。両軍入り乱れての乱闘にまで発生したケースもありました。
プレー中に喧嘩や危険な行為で、報復をした場合などに「警告試合」とされることがあります。公式の野球規則にはなく、申し合わせ事項というアグリーメントに記載されているようです。
警告試合は結構ある
2015年5月5日のオリックス対日本ハムファイターズが特に印象に残っています。オリックスの「塚原」が、9回の表に日本ハム「中田」「大野」「岡」に3死球を与えました。さすがに1イニング3死球は異常です、審判により警告試合が宣告されました。
塚原の2015年シーズンは43回2/3を投げて四球24、死球6と多くコントロールが悪い印象を受けます。同じチームの「西勇輝」投手は162回2/3で死球6という数字なのでいかに多いか分かります。
2015年5月31日に西武ライオンズの「郭俊麟」が投げ、阪神タイガースの「マートン」へ1日2回目の死球を与え、警告試合となりました。西武と阪神の両チームに警告を出したのは、報復防止の為なのでしょうか。
2015年7月11日にオリックスの「高宮」の投げたボールが、西武ライオンズの「中島」に死球となり、両軍激しいも見合いになり警告試合が宣告されました。
2015年7月15日の広島カープと阪神タイガースの試合で、広島の「薮田」が阪神の「俊介」と「坂」に死球を与え、両軍飛び出てきて警告試合になりました。
2015年8月14日の中日ドラゴンズ対読売ジャイアンツで、巨人の「ポレダ」が投げ中日の「ルナ」に死球を与えました。ルナの納得いかないような仕草に、ポレダも対抗し両軍飛び出して警告試合とされました。
この試合、中日の「高橋」が巨人の「阿部」に死球をしており、報復場面か?ということで一食触発になりました。
ちなみに2015年の2軍でも警告試合がありました。ヤクルトスワローズの「谷内亮太」が3打席連続で死球になったことです。相手はDeNAベイスターズの、「加賀・土屋・平田」の3選手ですが、これはあまりにも酷く、両軍から選手も出てきて警告試合になりました。
2015年は1軍で5回、2軍で1回の「警告試合」を確認しました。全てが死球(デッドボール)に絡む事で起こりました。死球は選手生命を短くしますし、怪我に繋がる場合も多いです。人間なのでたまにあるのは仕方がありませんが、1試合に何個も続くようなら投手を交代させたほうが良いのが一般論でしょう。打撲程度で済めばよいですが、骨折やヒビが入るケースも多いです、白熱してしまうのも無理はありません。
没収試合とは?
ほとんど聞いたことが無い「没収試合」です。簡単に言うと「試合において試合続行が不可能な自体が起こったり、トラブルで収拾が付かなくなった場合」に没収試合とされます。
出典:野球における没収試合
・球審が試合開始時刻にプレイを宣告してから、一方のチームが5分を経過してもなお競技場に出ないか、あるいは競技場に出ても試合を行うことを拒否した場合。
・一方のチームが試合を長引かせ、又は短くするために、明らかに策を用いた場合。
・球審が一時停止又は試合の打ち切りを宣告しないにもかかわらず、試合の続行を拒否した場合。
上記は一部だけの引用ですが、他にも9人集まらなかったり、試合中に揃わなくなったりというのもあります。
プロ野球での没収試合
プロ野球では、1971年のロッテが判定に講義し試合続行を拒否したのを最後に「没収試合」はありません。内容はハーフスイングをボールとしたが、捕手がストライクと抗議し、ストライクに変更したためだ。
出典:【7月13日】1971年(昭46) ロッテ、オーナーの指示で濃人渉監督が放棄試合
責任審判の田川豊一塁塁審が濃人監督に言った。「このまま行けばロッテの放棄試合になる。お客さんにも申し訳ないし、ロッテは制裁金を支払わなければならなくなる。提訴を条件に試合再開をしてくれ」。
濃人監督はこの提案を突っ張ねた。というのもこの時、ネット裏で観戦していた中村長芳オーナーの指示を武田和義球団代表を通じて耳打ちされていた。「審判が判定を覆すまで試合再開に応じるな。試合放棄になっても構わん」。
今では考えられないですが、当時のプロ野球らしいというかこんなことがあったんですね。この1971年以来2015年までは、没収試合はプロの試合ではありません。
たまたま見つけたのですが、2014年の阪神対中日で、あわや没収試合という試合があったようです。
延長12回、3―3から3点を勝ち越すと、その裏のマウンドに呉昇桓が上がった。この時点で全員が出場。ベンチに残る投手、野手は「0」になった。呉昇桓が難なく3者凡退で締めくくった裏で、阪神ベンチはあるリスクを背負っていた。
これは選手交代できる選手がいなくなったということです。全ての登録選手を使い、最後の1人が退場になった場合、試合続行が不可能ということになります。特に延長戦は総力戦になってくるので、選手をギリギリまで使い勝たなければなりません。そのため、このような危うい状況におかれることがあります。
送り出す監督や投手コーチは、冷や汗ものでしょう、コントロールの悪い投手を最後に残したくない理由がここにありそうな気がします。
出典:大経大 未登録選手代打で没収試合の珍事、関西六大学リーグ
5点のリードを許した大経大が8回1死で未登録選手を代打で出場させたため規定により没収試合、9―0で京産大の勝ちとなり連勝、勝ち点3として2位を確定させた。
大学の試合やアマチュアの試合では、まれにあるそうです。出てきた選手が、登録されていない選手だったということです。
真剣勝負だからこそ発生してしまう
没収試合も警告試合も、何が何でも勝つんだという強い意志が生み出してしまうのでしょうか。海外のサッカーでは、サポーターが興奮してというのが結構あるみたいです。観客が乱入したり、選手ともめたりと。その点で言えば、日本のプロ野球ファンは最近は紳士になったといえそうです、物を球場に投げ込むことはあっても乱入して選手や審判に詰め寄ることはほぼ見なくなりました。
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